ルイスポールセンは、デンマークを代表する北欧照明メーカー。その歴史は80年を超え、生み出した数々のランプは世界中で長く愛されている。
「インテリア好きに知らないものはいない」と言わしめる認知度をもつ、老舗メーカーだ。
その中でも有名なプロダクトに、デスクライト「AJ Table」がある。1957年、コペンハーゲンのロイヤルホテルのため、建築家ヤコブセンがデザインした照明シリーズの一つだ。
発表から60年を超えた現在も色褪せない ミッドセンチュリー(1950年代前後に販売された家具)を代表する作品の一つでもある。
円・直角・傾斜で構成されたストレートでモダンなデザインが美しく、どんな家具にもマッチする。そんなデスクランプに仕上がっている。
このAJTableの本体価格は118,800円。10万を超え、なかなか手を出しにくい照明なのである。
そこで今回、17,950円で販売されているAJ Tableのリプロダクト品(レプリカ)を購入してみた。本物じゃないが、どうか怒らないで欲しい。
リプロダクト品の品質も合わせてレビューしていきたい。
意匠権の期限が切れた製品を、出来るだけ忠実に復刻生産した製品。 ジェネリック製品とも呼ばれる。新商品として発表されてから3年以内に商品を販売することは不正競争防止法違反になり、違法行為になる。
厳密な「リプロダクト」という名称は、オリジナルメーカーの許可の元に再生産・再販する商品に使用されていた(ピエールポランF031など)が、現在は意匠権の切れた製品を他社が模倣したものを総称して「リプロダクト」と呼ぶことが一般的である。
今回のリプロダクトは、後者の意味で用いている。
目次
ルイスポールセン AJテーブルとは
- 1950年代のデザイナーズライト
- 北欧(デンマーク)照明
- 近未来的でミニマルなデザイン
AJ Tableは、ルイスポールセンが販売するデスク用照明。建築家アーネ・ヤコブセン(アルネ・ヤコブセン)の代表作のひとつだ。
※ルイスポールセン公式サイトの表記に倣い、この記事では「アーネ・ヤコブセン」と呼ぶ。
1950年代から変わらないミニマルライト
AJ Tableのデザインは1957年の当初から守られており、いわゆるミッドセンチュリー家具(1950年前後にデザインされた家具)と呼ばれる。
同時代に活躍したジョージ ネルソンやイームズの作品が代表的。
この年代に作られたのレトロでポップな家具たちは、どれを組み合わせても不思議と調和してしまう美しさを持っている。これがミッドセンチュリーの魅力なのだ。
線と円から作られる近未来的なフォルム
AJ Tableは円・直角・傾斜だけでパーツ構成された近未来的なデザインで、素材にはスチールが用いられる。
建築家ヤコブセンが設計を手がける コペンハーゲンのロイヤルホテルで使うためデザインした照明が由来であり、その意匠は徹底的に「生活感」を排除したものになった。
AJ Tableには同一シリーズとしてフロアライト・ウォールライト・ミニテーブルライトが存在する。ホテルコンセプトを崩さないよう細部まで作り込んだのがわかる。
スチールとダイキャスト亜鉛が使われた本体重量は2.5kg。光源はE26型の電球で、LED電球も使えて環境にも優しい。
正規品は10万円を超える
デザイナーズ家具の宿命であるが、とにかく高価。AJシリーズはどれも10万円近い価格帯となる。いわゆるデザイン代だ。
- AJ テーブル・・・118,800円
- AJ ミニ テーブル・・・97,900円
- AJ フロア・・・135,300円
- AJ ウォール・・・93,500円
「デザイナーに敬意を払うという意味でもオリジナルを購入したい。」という考えの一方で「デスクランプに10万かけるのはどうなのか?」と庶民の私は購入を躊躇ってしまうわけだ。
リプロダクトは7,000円〜20,000円
デザイン家具には模倣を禁止する「意匠権」が存在するのだが、意匠権は最長25年で失効する。その意匠権が切れ、他社で販売できるようになったものがリプロダクト品だ。海外と日本の法律が異なるので実際はもっと複雑
リプロダクトはメーカーの製品基準に従う必要がなくデザイン料も不要なので、安価に製造・販売できる。AJ デスクライトの場合は7,000円〜20,000円の様々な「AJ Table リプロダクト」が存在するのだ。
もちろんリプロダクト品は「ルイスポールセン」ではないし、正規品が求める品質基準をクリアしているかわからないところに注意したい。リプロダクトはあくまで「模倣品」だ。
というわけで、模倣品の品質はいかがなものだろうか。という純粋な興味もあり購入してみた。
リプロダクト版 AJ table lampの購入レビュー
デザイナー家具のリプロダクト品は、さまざまなメーカーから色々な価格帯で生産している。金額によって品質に差があり、安いものは塗装ハゲやパーツのズレがあるのが現状だ。
AJテーブルのリプロダクト品で一番安いのはTABLE LIGHT TIVOLIという7,000円の製品だが、ポール角度がオリジナルと違っていたり、塗装が甘いというクチコミが見られた。
そこで今回は、R&Mが取り扱う15,950円の製品を購入。値段は倍になるが、本来のAJランプを習ったデザインでクチコミも良い。
普通のデスクライト程度の値段になるが、品質はかなり良質だった。
ここからは、写真多めにレビューしていきたい。
AJテーブルライトのスペック
カラー | ブラック |
---|---|
素材 | アルミ |
サイズ | H50 × W16 × D35cm |
コード長さ | 175cm(スイッチ付) |
電球口径 | E26(60Wまで) |
重さ | 2kg |
付属品 | 東芝 LED電球 60W |
外箱は高級感なし
特に期待はしていなかったが、外装は普通。段ボールの内側に、ズレ防止の発泡スチロールが梱包されている。
正規品は段ボール梱包だけなので、発泡スチロールで固定しているリプロダクトの方が梱包は丁寧だったりする。
東芝製のLED電球(E26型)が付属していてそのまま利用可能。スマートLED電球に入れ替えればスマホ操作も可能だ。
ボディの質感が良い
本体にはマット加工のアルミが使われていて非常に質感が良い。正規品はスチールだが、アルミでも十分に高級感を感じる。
白く塗装されたシェード内側が良いアクセントになっている。
シェードの角度は85度まで動かすことができるので、デスク面だけでなく壁にかけたポスターにも照明を当てられる。
スタンドとケーブルに二箇所のスイッチ
スイッチは二つ。スタンドとケーブル途中に用意されている。
デスクライトとして使うなら手元のスイッチだけで十分だが、ケーブルスイッチがあるので手の届かない場所に置くこともできる。
物理スイッチが採用されているので、スマートプラグを使えば遠隔操作やスケジュール点灯ができカスタマイズ性も申し分ない。
フェルト加工でデスクに傷をつけない
スタンド裏面はフェルトで覆われている。大切なデスクを傷つける心配がなく、とてもありがたい心遣いだ。
シルエットが美しい
照明として使っていないときもインテリアとして楽しめるAJ Tableだが、特に美しいのが暗い部屋で照明を灯す時だ。
シェードを真下に向けてデスクを照らすと、反射された柔らかな光の中にAJ Tableのモダンなシルエットが浮かび上がる。これが文句なくかっこいい。異論は認めない。
これを眺めるだけでも買ってよかったと思える満足感がある。
AJ Table 正規品とリプロダクトの違い
正規品とリプロダクトの大きな違いは3つ。
- カラーラインナップ
正規品は10色のところ、8色でポップなカラーが多い - シェード(ヘッド)の稼働角度
正規品は90度のところ、85度まで稼働 - 本体の金属
正規品はスチールのところ、アルミ製
これ以外にパッと見てわかる違いは存在しない。ちなみに正規品にはシェード裏のシールに「ルイスポールセン」の表記があり、ここでも判断できる。
違い | 正規品 | リプロダクト |
---|---|---|
カラー | 10色 | 8色 |
ヘッド角度 | 90度 | 85度 |
金属 | スチール | アルミ |
シェード裏シール | ルイスポールセン表記 | なし |
まとめ:リプロも品質良し。インテリアにレトロモダンをプラスするデスクライト
ここが良い
- アルミの質感は上々
- 二箇所のスイッチが便利
- インテリアにモダンな印象をプラス
- 安価に入手できる
ここが残念
- 調光機能なし
- アナログ操作のみ
- ブラックは指紋跡が目立つ
AJ テーブルランプは、リプロダクトでも想像以上に満足感を与えてくれる製品だった。
正規品と10万円以上も開きのある金額だったので心配していたが、結果として品質はかなり良く、塗りムラなど気になる箇所は見られなかった。
リーズナブルにデザイナーズ家具の雰囲気を味わうのに十分すぎる印象だ。本当にかっこいい。
正規品のシェード角度は90度動くが、この製品は85度になる。あまり気にならないが、細部の作りが気になる人は正規品の購入をおすすめする。
本日はここまで。ありがとうございました。マサオカ(@iMassa07)でした。