
マサオカ
レッドウイング9871についた水染みを、丸洗いして取り除いた作業録です。レザーブーツの水染みを取り除きたい方はご覧ください。
革製のワークブーツは、使いこんでできたヨレやキズなどの経年劣化を楽しむ靴です。
ただ、唯一許せない汚れがあります。それが「水シミ」です。
明るい色のレザーの水染みは、遠目からも目立ってかっこ悪いですよね。
革靴についた水染みを消すにはどうすればいいの…

ヨメ

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水染みはレザーの染料が移動してムラができた状態。水染みの周りを濡らすなど余計なことはせず、丸洗いするしかありません…
大切なレッドウイングに水シミができてしまったので、ブーツケアの最終手段「水洗い」をして取り除いた過程を紹介します。注意ですが、汚れ落とし「ステインリムーバー」には水染みを取り除く効果はないので使い方を間違えないでください。
本日使うアイテムはこちら!今回はサドルソープは使いませんでした。

目次
レッドウイング9871「ゴールドラセット セコイア」

本日の主役はこちら。1950年代当時のレッドウイングのレザーを反映させたカラー「ゴールドラセット セコイア」です。
キツネ色の美しいレザーで、汚れや履きジワがわかりやすくエイジングを楽しめるブーツです。明るい色のオイルドレザー(オイルがたくさん含まれ、水に強くメンテナンスが不要なレザー)で、この明るい色を出すために通常のレッドウイングよりもオイル分が少ないレザーを使用しています。

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で、このシミである。

明るい色のレザーは水染みが目立つ

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明るいレザーの水シミは目立つ
レッドウイングの中でも特に明るい色の9871は、普通のワークブーツよりも水シミが目立ちます。
通常であればワークブーツのキズや汚れは味として楽しむものなのですが、明るい色のレザーにできた水シミはとにかく主張するんです。
今後のエイジングにも影響がでてくるかもしれません。
水シミは早く対処すれば跡に残りにくくなるので、早めの判断で丸洗いして取り除く決断をしました。
レザーの水シミにやってはいけないこと
まず、レッドウイングの丸洗いをする前に事前知識です。
レザーに含まれた水が乾くときに、革の内部の染料が移動します。この差が”シミ”としてレザー表面に現れます。水シミの上からさらに水を含ませて散らそうとしても水シミは消えないのです。

この様に、シミの周りだけを水やステインリムーバーで濡らしてぼかそうとすると、水シミが広がり症状が悪化します。レザーが痛むので絶対にやめましょう。(やってしまった)
全体を均一に濡らしてから乾かさないと、水シミは取りのぞけません。

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それでは、ここから丸洗いの工程を紹介していきます。
明るい色のレザーブーツを丸洗いする方法
水が天敵と言われるレザーを「水洗い」するのは抵抗がありますよね。
水洗いをすると「通常よりも少し色が濃くなる」と聞いていたので、私もかなり怖かったです。
結果からいうと、レッドウイング9871(ゴールドラセット セコイア)は水洗いしても色は変わりませんでした。

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正直賭けでしたが、よかったです…
それでは、作業に進みます。
表面のワックスや汚れを取り除く

まずは、今までのシューケアで使ってきたワックスや汚れを取り除きます。専用のリムーバー(汚れ落とし)を使いましょう。
私は「革製品の汚れ落とし」として有名な、エム.モゥブレィのステインリムーバーを愛用しています。革に優しい「水性」の汚れ落としです。
2〜3適を要らない布に染み込ませ、力を入れずに革全体を拭きます。いくら革に優しいと言っても、強くこすると革が痛むのでサッと塗りましょう。

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全体の汚れを取り除くのが目的なので、水染みができた箇所だけをゴシゴシしてはいけませんよ。
レッドウイングを水に浸す

汚れを落とすのであればサドルソープ(靴用の洗剤)を使った洗浄をするべきですが、今回は汚れは無く水シミだけだったので使いません。
ブーツを浸し、レザー全体が水を吸い込んだら完了です。およそ1〜2時間で水が浸透します。

BeforeAfterがこちらです。水を吸い込んで革の色が濃くなりますが、乾燥すれば元に戻るので安心しましょう。

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靴表面の汚れも気になったら、サドルソープを使って洗うのがおすすめです。
内側の水分を乾燥させる

キッチンペーパーや新聞紙を靴の中に詰めて、水分を取り除きます。最初は10分に一回のペースで新聞紙を取り替え、徐々に交換の間隔を開けていきます。
日光の当たらない風通しの良い場所で陰干しをしましょう。乾燥中はブーツの下に新聞紙を敷きましょう。
ドライヤーの温風を使うと革にダメージを与えてしまい、ひび割れがおこる原因になります。あくまで「自然乾燥」です。
表面は6時間ほどで乾燥して元の色に戻ります。

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見た目は復活していますが、内部のコルクは乾いてないのでまだ履かないでください。
シューツリーで形を整えてクリームで保湿する

6時間ほどたちました。
革がしっとりとしてまだ水分が残っている間にシューツリーを入れて革の形を整えます。木製のシューツリーは靴の中の湿気を吸い取ってくれるので、普段から愛用しています。
ハイカット部分もカバーできるブーツ用のシューツリーを使いましょう。
私が使っているのは、ミレニアム製のシューツリー「ミレニアムブーツトゥリー」。ブーツサイズ25.5に対してシューツリーサイズ41がぴったりです。シダー材がとてもいい匂い。

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濡れた状態の革は型崩れしやすいので、サイズの合ったシューツリーを選びましょう。
シューツリーを入れたまま保湿ケア

水洗いによって革に含まれていたオイルが抜けているので、シューツリーを入れたままケアクリームで保湿します。ケアせずに乾燥させると革がカチカチになるので必ず行います。
今回使うケアクリームは「Collonil 1909 シュプリームクリームデラックス (カラーレス)」です。パール大のサイズを指ですくい、手で塗り広げます。(布でもOK)
ゴールドラセットセコイアには、油分100パーセントのオイル(ミンクオイル)を使いません。油分が多すぎて、レザーの色が濃くなってしまうからです。
せっかくの美しいキツネ色が台無しに!

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財布やバックなどいろんなレザーに使えるので1つ持っておくといいですよ。
さらに数日乾燥させる

この後、中にもう一度新聞紙を詰め直して日陰で乾燥させます。ブーツ内部、ソール の間にはコルクが利用されているので、ここが乾くまで乾燥させます。
乾燥期間の目安は3〜5日。梅雨時期にはもう少し余裕を見ましょう。ダンボールにレッドウイングと水とりゾウさんを一緒に入れて乾燥させる方法も考えましたが、水取りゾウさんが家になかったのでやめました。
乾燥の間は、ブーツの中に詰めた新聞紙が湿ったと思ったら交換し続けます。これを怠ると、湿気がこもってブーツにカビが発生します。
仕上げに通常のブーツケアを行う
レッドウイングの公式youtubeに、ゴールドラセットセコイアカラーのケア方法が公開されています。これを見ながら進めましょう。
- 馬毛ブラシ
- レザークリーム
- 綿の布切れ
レザーのケアクリームは何を使うといい?
私はコロニルのレザークリーム「1909 シュプリームクリームデラックスのカラーレスタイプ 」を使いました。
レッドウイングの公式レザークリームもいいですが、大事なのはオイルが少なめに含まれているケアクリームを使うことです。(明るい色のレザーの場合)
ワックスが含まれたものを使うとテカりができるので、マットに履きたい方はワックスが含まれていないものを選びましょう。テカリが欲しい方は、蜜蝋が含まれたクリームもおすすめです。
まとめ

ついてしまった水シミを除くためには、どうしても水洗いをする工程が必要になってきます。
革についた水シミは、普通なら諦めないといけません。でも今回は結構な値段の靴だったので、どうしても復活させたくて水洗いにチャレンジしました。
革のケアに天敵の「水」を使うのは抵抗がありますよね。
今回の記事は、レッドウイング9871ゴールドラセットセコイアを水洗いした工程の記事がなかったので書かせていただきました。
大切なブーツを復活させる参考になれば嬉しいです。

マサオカ
水洗いすると、少なからず革にダメージを与えてしまいます。どうしても水シミが気になって履けない、という場合にお試しください。